中小企業デジタル活用支援補助金

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成果事例

CASE.01
犬飼建設株式会社様

工作機械の利用状況を把握し作業を効率化

企業プロフィール

企業名
犬飼建設株式会社
業種
総合工事業
住所
〒455-0806
名古屋市港区明正二丁目215番地
電話番号
052-382-1255
HP
http://inu-kai.com/

課題

工作機械の利用状況を把握すること

写真:課題イメージ

 当社は1887年より砂利・砂の生産販売を行う砂利採取業として創業し、1960年代より土木工事を手掛けるようになりました。高度経済成長の建設ラッシュで飛躍的に増えた需要を弾みに今日まで建設業界の重要な根幹を担ってきました。100年以上に渡り建設業界に携わってきており、今日では道路・外構・港湾工事など屋外で行う土木工事を主として行っています。

写真:課題イメージ

 当社の工事現場の特性として1~2日間と短期間で終わる施工箇所が常時5件程度稼働し点在しているため、工作機械を工事現場へ持出すと稼働現場をリアルタイムで把握することが困難でした。また、現場に持ち出した工作機械の探索に時間がかかると、作業の遅延が発生したり、稼働率が上がらなかったりと、会社の売上にも影響がありました。そのため、工作機械の利用状況を正確に把握する仕組みを構築することが喫緊の課題でした。

取り組み内容

身近なITデバイスで稼働状況の見える化

①スマートタグを活用した工作器具の稼働状況把握
 スマートタグを工作器具に設置し、スマートフォンやタブレット端末とBluetooth接続できるようになり、スマートタグの位置情報モニタリングサービスで、スマートタグが設置されている工作器具の稼働現場が地図上で一目でわかるようになりました。保守管理の際には、位置状況や稼働現場がリアルタイムに分かるため、作業の遅延や修理コスト増加のリスクを低減することが出来ました。

写真:取り組み内容イメージ

②工作機械の稼働状況を映像で確認
 工事現場で使用中の車に高画質で広範囲の視野を持つドライブレコーダを取り付けました。車両の停車中も常時映像を録画し、工作機械の配置や動きを全体的に映像として記録しています。

写真:取り組み内容イメージ

工作機械の運転状況や潜在的な問題を、両方のデータを突き合わせ検証することで稼働状況にムダがあれば、より効率的な工作機械の配置へつなげ、稼働率の高い工作機械は計画的なメンテナンスを実施し、予期しない故障によるトラブルを未然に防ぐことが可能です。

今後のデジタル化への取り組み

 デジタル化・DX推進が遅れているといわれる建設現場において、工作機械のリアルタイムな位置把握と追跡により正確な稼働率を把握し、利用効率を50%向上させる目標を達成することができました。今後ますます、建設業界もデジタル化が進むと考えられます。当社でも今後は重機のICT化へ拡大し、建設機械のマシンガイダンス(衛星測位システム等で取得した位置情報をもとに建設機械の操縦をサポートする機能)に取り組んでいきたいと考えております。

デジタル活用支援マネージャーからのコメント

中小企業デジタル活用支援マネージャー 小島靖弘

名古屋市新事業支援センター
中小企業デジタル活用支援マネージャー
小島靖弘

 身近なITデバイスを活用した中小規模の建設業者における物の管理のモデルケースといえます。また、現場情報を動画として記録しておくことは、現場状況を把握するうえで非常に効果的と言えます。本事業は事業者が身近な製品を活用し創意工夫することで、費用対効果の高いデジタル化ができるという良い事例です。

CASE.02
有限会社中部製作所様

デジタル測定機器による加工データの自動登録とデータ分析

企業プロフィール

企業名
有限会社中部製作所
業種
金属製品製造業
住所
〒456-0058
名古屋市熱田区六番三丁目11の9番地
従業員数
41名
電話番号
052-652-5231
HP
http://www.tyubu.co.jp/

課題

加工データ管理や製品合否判定が煩雑で作業者だより

 当社は、主に油圧機器部品や工作機械部品を製造しており、少量多品種を短納期で製造することを得意としております。しかし現場での加工データの管理は紙での運用がいまだに残っており、記録として有効ではあるものの、デジタルデータではない為 、集計や分析に手間取っているのも事実でした。

写真:課題イメージ

 デジタル化への遅れについては、かねてより社内でも議題にあがっており、加工効率の向上や加工機の精度管理を図るため、加工データをデジタルデータ化し、一元管理することが当社の課題でした。

取り組み内容

デジタル測定具の導入とデータの活用

 今回のIT化プロジェクトでは、紙ベースの寸法・品質管理を段階的にデジタル化が可能となるよう進めております。
具体的な内容としては、
1.測定具のPCとの接続
 従来より使用している測定具に新たに通信機能を付与する事でPCとの接続を実現し、PCでの寸法管理を可能とします。
2.デジタルチェックシート
 PC上のチェックシートファイルの指示に従い所定の測定具で測定を実施。この際に、不良品であった場合はソフトより警告が出され作業者はすぐに不良に気づく事が出来ます。
3.データ収集・分析
 導入ソフトを使用し、データの収集及び分析を実施し、工程能力や不良傾向を把握し、リアルタイムに現場へフィードバックします。

写真:取り組み内容イメージ

 本事業でのデジタルチェックシートでは細かい寸法や紛らわしい寸法であっても機械が自動判別してくれる為、作業員がミスをするリスクは軽減されました。また、従来であれば作業者が寸法不良に気づかない場合、次の測定までの不良品を作り続ける事になり、時間及び金額面での大きな損失を発生させていました。今回デジタル測定を実施する事で経験が浅い作業者でも自動判別する為、不良を見逃す事がなくなり、上記損失を防ぐ事が出来るようになりました。

今後のデジタル化への取り組み

 補助事業実施後の初年度においては、主力部門である製造部門のデジタル化に注力し、紙ベースで効率が悪い品質・寸法管理に特化し改善を図りました。今後は、AIを用いたOCRシステム(PCとスキャナを使用し、手書き文字をデジタル化する仕組み)を導入できればと考えております。今まで蓄積した紙ベースのデータをデジタル化し、データ分析・管理をする事で製造部門におけるノウハウの取得を目指します。
 また、製造部門に留まらず、営業部門・物流部門などの各部署のデジタルデータ化を実施し分析する事で、配送効率・営業効率の向上など自社内のあらゆる業務の改善を図りたいと考えています。

写真:企業の声

デジタル活用支援マネージャーからのコメント

中小企業デジタル活用支援マネージャー 小島靖弘

名古屋市新事業支援センター
中小企業デジタル活用支援マネージャー
小島靖弘

 自社の業務フローをしっかりと把握した上でボトルネックとなっている業務を自動化・デジタル化したことがわかります。生産性向上と品質向上が図られ中小企業が目指すDXの良い事例です。

CASE.03佐原事務所様

3D 現地測量と3D図面作成で業務を効率化

企業プロフィール

企業名
佐原事務所
業種
土地家屋調査士・測量業
住所
〒458-0825
名古屋市緑区左京山1007番地
電話番号
052-629-6216
HP
https://www.midori-j.jp/

課題

業務の効率化と依頼者ニーズへの対応

 佐原事務所は土地家屋調査士、測量、建築設計業務を行う事務所です。
土地家屋調査士、一級建築士の資格を有する代表が専門知識を活かしお客様に寄り添って土地や建物などの不動産に関するアドバイスをしております。
 当社の業務時間の約半分を占める図面作成業務では、作図方法が20年以上前より大きく変化しておらず、3D図面を作成する業務は自社で対応できないため、受注機会を逃すケースが出ていました。また、現地測量に2~3人日かかっており、追加要望や測り忘れ、観測ミスによる現場で再測量が必要となるケースもあり、ニーズの高度化と業務効率の向上への対応が当社の課題となっていました。

取り組み内容

高精度3D測量データの活用

 業務効率を向上するため 地上型レーザースキャナーを活用し3D 現地測量を推進しました。その結果、現場の「寸法」「色」「風景」など全てのデータをデジタル化することができ、当事務所で注力している広範囲の現況測量を視覚的に分かりやすく、具体的に説明が行いやすいデータを作成し、発注者に提供できるようになりました。

写真:取り組み内容イメージ

今までの図面は、2次元のため高さを持った樹木、ガードレール、縁石、交通標識等が平面図上で線でしか表現することができす、イメージが湧きにくかったのですが、3D(三次元)データで作成することにより、ビデオ動画を見ているように視覚的に分かりやすいものが作成できるようになりました。

3D 測量データを使用することで普段図面を見慣れていない方にも理解していただけるようになりました。また、様々な角度から境界説明や検討をすることで最終的な落としどころの打ち合わせにつながっております。

今後のデジタル化への取り組み

 本事業の実施により3D 測量業務が可能になりました。将来的にはホームページやSNS 上で広く当事務所の取り組みをアピールし、他地域からの業務受注も受けていきたいと考えています。

デジタル活用支援マネージャーからのコメント

中小企業デジタル活用支援マネージャー 小島靖弘

名古屋市新事業支援センター
中小企業デジタル活用支援マネージャー
小島靖弘

 3Dデータに関わる技術の進歩は目覚ましいものがあります。3Dデータを取得することは他のアプリケーションへ連携するなど自社の業務効率化だけでなく、顧客へさまざまな付加価値を提供できる可能性があります。本事例は、現場から得られる情報をデジタルデータとして保管しておくことが業務効率化・付加価値向上につながる良い事例です。

CASE.04フジ建設株式会社様

HPの刷新と動画による事業紹介

企業プロフィール

企業名
フジ建設株式会社
業種
職別工事業(解体工事)
住所
〒463-0004
名古屋市守山区吉根二丁目3006番地
従業員数
85名
電話番号
052-739-1124
HP
https:// fujiken24.com/

課題

当社事業の魅力を発信できていない

 当社は各都道府県・政令指定都市において、産業廃棄物の収集運搬業・処分業の優良産業廃棄物処理業者として認定を受けています。施工管理士による安全な解体工事の施工計画に基づき、コンプライアンスに則った廃棄物の処理まで一貫して行えることが、当社の強みです。

写真:課題イメージ

 解体業界、産業廃棄物収集運搬業務は、社会的な需要があります。その中でより事業を拡大し、従業員の増員を図りながら、事業を拡大していくことが求められているにもかかわらず、当社の事業や魅力を効果的に発信することができていないことが、当社の課題でした。

取り組み内容

ホームページにドローン動画を掲載

 課題を解決するために、当社がどのような業務をしているのかを分かりやすく社外に発信するホームページを新たに作成しました。新しいホームページでは、トップ画面に動画をのせております。この動画は、当社が施工したコンクリート造の集合住宅の解体工事をドローンを使用して撮影したため迫力のある動画になりました。その結果、印象に残るホームページとなり、当社の実施する解体工事の施工や産業廃棄物の事業に関するPR、また社会貢献性について広く知ってもらえるようになりました。

写真:取り組み内容イメージ
写真:取り組み内容イメージ

 さらに、お見積り依頼から現地調査、積算、工事の様子など業務の流れを動画にて紹介しています。動画は入替えができるようにすることで、一定期間で更新して新鮮味や営業戦略に活用する事もできる仕組みにしました。
 今回の取り組みで、アナログで属人的な営業活動ではなく、当社がどのような業務をしているかを分かりやすく社外に発信することができるようになりました。

写真:取り組み内容イメージ
写真:取り組み内容イメージ

今後のデジタル化への取り組み

  今後は、WEB広告、メルマガ、マーケティングオートメーションツールの活用を検討しており、効果的に顧客や人財にアプローチしていきたいと考えております。また、新しいホームページで分かりやすい内容の掲示、発信と合わせ、自社の固定ファン獲得を促進していきます。

デジタル活用支援マネージャーからのコメント

中小企業デジタル活用支援マネージャー 小島靖弘

名古屋市新事業支援センター
中小企業デジタル活用支援マネージャー
小島靖弘

 解体工事をドローンで撮影することで迫力のある動画がトップページに置かれ、非常にインパクトのあるホームページとなっています。営業面や人材採用面において効果が期待できるホームページ構築の非常に良い事例です。

CASE.05
酒井鋼管株式会社様

AIによる鋼材カウントで在庫管理の最適化

企業プロフィール

企業名
酒井鋼管株式会社
業種
建築材料、鉱物・金属材料等卸売業
住所
〒455-0016
名古屋市港区川口町2番16号
従業員数
24名
電話番号
052-654-5131
HP
http://www.spt-sakai.co.jp/

課題

煩雑な在庫管理と出荷前検査

写真:課題イメージ

 当社は、昭和20年に名古屋市中村区にて各種鋼管・鋼材を加工販売しており、お客様の指定寸法に切断加工して販売しております。平成29年からは3Dレーザー加工も開始しており、鋼管・形鋼に3D加工が可能となることで金型不要で高精度な製品をお客様に提供しております。

写真:課題イメージ

 3Dレーザー加工を開始したことで、今までの取り扱いの無かった大型のパイプ、形鋼の引き合いも増加傾向にあり、鋼管・鋼材の在庫が増えております。一方で、在庫は現場部署ごとに管理しているため、他部署にどのような材料があるかを把握できていないという問題や、出荷前検査にも時間が多くかかるという問題も顕在化していました。

取り組み内容

AIによる鋼材カウントで在庫管理の最適化

 今回の取り組みで、鋼材やパイプなどの束を効率的にカウントするシステムを導入しました。このシステムを利用することで瞬時に本数が把握でき、今まで時間がかかっていた在庫数のカウントや出荷前検査の作業が大きく改善されました。また、カウントした在庫数は、Googleのスプレッドシートに入力し管理することで部署ごとの在庫品種・数量を把握できるようにしました。さらに管理しているデータを大型モニターに映すことで、従業員がだれでも在庫数をすぐに確認でき、部署ごとの材料移動を促すことや欠品を減らすことにつながっています。

写真:取り組み内容イメージ

今後のデジタル化への取り組み

 今後の展望として、鋼材カウントシステムでカウントした本数をスプレッドシートへ入力する作業をRPA等の自動化ツールを利用して、省力化、入力漏れ対策を図るなど、今回の事業を機会にデジタル化を一層進めたいと考えています。

デジタル活用支援マネージャーからのコメント

中小企業デジタル活用支援マネージャー 小島靖弘

名古屋市新事業支援センター
中小企業デジタル活用支援マネージャー
小島靖弘

 AI技術の発展により画像認識は現在、対象物が何であるかだけでなく、その個数や色なども認識できるようになっています。本事例は、AI画像認識アプリケーションを活用することで、作業効率を図る非常に良い事例です。